就活と学業

はっきり言おう。就職の内定時期によって、学生の学業への熱意が変化するとすれば、それは大学が提供する教育サービスの価値が低いことが原因だ。」と言う.これは一瞬,説得されそうになる理屈だが,少し冷静になって欲しい.

政府が「就活ルール」に関わるのは愚行といえる3つの理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン

 
学業は,本来は自分の責任において,現在の自分をそれ以上のものに高めようとする行為だから,しなかったからと言って,本人にしてみれば現状維持だ.実際は努力しないと現状維持もできないのが人間だが,ともかく,ある日一日勉強しないという選択肢は常にある.それに対して,就職は,出来なかったら社会の落伍者だと少なくとも学生は思っている.だから,授業や卒業研究をスキップしてでも選考や説明会に出向く.内定獲得後も内定者研修に来いと言われれば,しょうもないと思っていたとしても顔を出すだろう.行かなければ新年度早々ついて行けなくなるかも知れないし(そんなことはまずないと思うが),出席するかどうか自体を評価されていると想像するからだ.この辺りには日本的ないやらしさも絡んでいる.
 
選考時期が本当に自由化されて1年生から少しずつインターンシップに参加するなどということになれば,就活の緊急度が下がって,むしろ学業にも目が向くようになるのかも知れない.
 
一方,就活よりも学生に優先されるような教育サービスを大学が提供するかどうか・・・例えば成績評価を極めて厳しくするとか・・・についてだが,これはこれで一筋縄ではないので,別の機会に述べたい.