学業と就職

学生の就職支援がらみで,ある企業を訪問して人事担当者と会ってきた.こういう仕事は多分私立大学に限ったことだろう.わが校の学生に内定を下さってありがとうございます・次年度のご採用スケジュールはどんなもんでしょうか?という具合である.話してみないとわからないこともあるので,それなりに重要な仕事である.

さて,一応,どんな人材が望ましいか?という質問をすることになっている.特徴的な回答はめったにない.「積極性と協調性があって・・・つまりコミュニケーション能力があるということですね・・・学業成績は特に見ません」という答えは,よくあるものだ.「通り一遍ですが」と担当者も言っていた.

「学業成績は見ない」ということを,大学教員の前で悪びれもせず言う.冷静に見れば,おかしな話だ.それどころか,「バカでも採りますのでご安心ください.はっはっは」という馴れ合いのニュアンスさえある.ただ,話を聞いている私自身が,さもありなんと自然に聞いてしまうのである.情けなや.(さすがに「ただのバカ」という意味ではないことくらいは分るけど)

学業がどうでもよいなら高卒者を採ればよいではないか,と思うが,それは具合が悪いのだろう.